[Novels]

【夏祭り】

 夏祭りの夜だった。
 小銭の入った財布をズボンのポケットにしまって、人混みの中をリュウと手を繋いで歩いていた。
 夜と言っても外はまだ明るい。あと一時間もすればすっかり夜色に満たされるのだろうけれど、今はまだ、張り巡らされた電飾に灯りが点っていても判らないくらいだ。
 神社へと続く細道に沿って、色とりどりの看板やのぼりを下げた屋台が並んでいる。
 りんご飴の甘い香り、焼きそばやたこ焼きのソースの香り、温くこもったお酒の匂い。夏の湿っぽい夜風とともに、それらが鼻先を通り抜けていく。
 同い年くらいの子供の笑い声。野太い屋台の呼びこみ声や、世間話の声などが混じり合って共鳴しあって、祭りの空気を盛り上げている。
 リュウと二人して、きょろきょろと屋台に書かれた色とりどりの文字や並べ売られている品物を眺めながら歩く。
 わたあめ、百円玉三枚。イカ焼き、百円玉三枚。ビー玉なら一袋で一枚。
 母さんに貰ったお金は百円玉が十枚と、お賽銭用の十円玉が二枚だけだから、買う物は厳選しないといけない。
 母さんは今日も仕事で帰りが遅いから、夕飯は屋台で買って食べることになっていた。
 焼きそば四枚。お好み焼き四枚。金魚すくい二枚。おめん五枚。りんご飴二枚。
 うまく買わないと、夕飯だけでお金が消えてしまいそうだ。せっかくのお祭りなのだから、お祭りならではのお菓子も食べたいし、リュウならきっと金魚すくいとかやりたがる。去年もそうだった。無駄に高い、しかも役に立たないおめんを欲しがって、とても困ったことは忘れたくても忘れられない。あの時は、家に帰ったら作ってやるからと言い宥めたけれど、金魚すくいはさすがに家ではやらせてあげられない。
 昔は良かったなぁと、ちょっと思う。
 母さんに連れてきて貰っていた頃。リュウを抱いている母さんの隣で、人混みではぐれないように浴衣の裾を掴んで歩いた。袖と裾に描かれた色とりどりの朝顔柄が、風にゆらゆらと揺れる様子を、歩きながらじっと見ていた。母さんはその視線に気づくと、朝顔が大好きなのだと言って笑った。
 ここしばらく、母さんが浴衣を着ている姿を見たことがない。一緒に祭りに来られないことも寂しいけれど、あの浴衣が見られないのも、少し寂しい。
 仕方ないことは、十分にわかっているけれど。
 神社へと続く道のりは長く、屋台の内容も食べ物からおもちゃ、簡単なゲームやくじ引きと雑多になってきた。中古のゲームソフト五枚。カードダス一枚。レアカードだと、それ一枚だけで全財産が消えてしまう。カードが趣味じゃなくて良かったと思う。
 境内へと向かう石段を一段一段数えながら歩くリュウの手を、ゆっくりと引っ張りながら、振り返って声をかけた。
「リュウ、お前何食べたい?」
「ぼく、いちご飴たびたい!」
 間髪入れずに、石段から顔を上げて、抜けた前歯の隙間をのぞかせながら叫ぶ。
 前方に視線を戻せば、りんご飴といちご飴を並べた屋台が目に入った。いちご飴、一枚。
「良いけど。夕飯食ってからな」
「んー? じゃあ、たこ焼きたびたい!」
 たこ焼きか。確かに祭りでもなければ食べないなぁと思いながら階段を上る。通りすがら、屋台の値札をのぞき見る。たこ焼き三枚。大玉たこ焼き五枚。たこ焼き屋の横にはイカ焼き屋が並んでいる。大串イカ姿焼き五枚。香ばしい醤油ダレの匂いと、ぷちりと弾けそうなイカの胴体に、思わず喉が鳴った。
 たこ焼き三枚。いちご飴一枚。大串イカ姿焼き五枚。残り百円玉一枚。
 良いかも知れない。
「お参り済んだら、たこ焼き買おうな」
「うん!」
 漂う香りに鼻を鳴らしながら、リュウが笑顔で頷いた。
 階段を上りきると、境内へとのびる石畳の両側には地面にシートを広げた店が並んでいた。その周りを囲むように、屋台が所狭しと立ち並んでいる。人垣を抜けて、露店が途切れた辺りには、さらに大きな人の壁があって、ゆっくりとした流れに沿って進んでいくと、ようやくお参りができるところまで辿り着いた。リュウの手を放して、ポケットから財布を取りだし、銀色の中に紛れている茶色の十円玉を二枚探し出す。
 ガラガラと低い鈴の音が響く中、こちらを見上げて大人しく待っているリュウの掌に十円玉を一枚のせて、もう一枚は自分で賽銭箱へと投げ入れる。十円玉は緩い放物線を描いてチャリンと賽銭箱に入った。
 その様子を眺めてから、リュウは口を横いっぱいに広げて笑顔を見せると、大きく腕を振って賽銭箱に十円玉を放り投げる。
 勢いよく真っ直ぐ投げられた十円玉は、カツンと音を立てて柱に跳ね返り、大きな賽銭箱の溝へと消えていく。
「入ったぁーっ!」
 両手を上げてはしゃぐリュウの頭を左手でぐりぐり撫でながら、
「よし、リュウ、じゃあ次はお参り」
 両手を大きくうち鳴らして、二人で少しの間だけ目を閉じた。
 人の流れは途切れない。あまりゆっくりしていても邪魔になるから、リュウの手を引いて境内を後にする。
 気が付けば辺りは次第に暗くなってきていた。あちこちに吊された電球や提灯が、ほんのりと明るく感じられる。こうなると空が真っ暗になるのはあっという間だ。
 来たときとは反対方向の流れにのりながら、再び露店が建ち並ぶ地帯へと出る。お皿や骨董品、植物の苗や野菜などが並べられたシートを見下ろしながら、漂ってくる美味しそうな匂いに空腹を覚える。
 どこの店でたこ焼きを買おうか。値段はどこも大差ないようだったけれども、入っているタコの大きさなどは、店によって当たりはずれがあることは今までの経験から知っている。人混みの少ないところで立ち止まって、ぐるりと周囲を見渡す。できれば、屋台のおじさんがあまり怖く無さそうなところがいい。……あの店とかはどうだろう。薄茶色の長い髪を後ろで一つにしばったお兄さんが、慣れた手つきでたこ焼きを焼いている。髪の色は怖いけれど、親子連れのお客さんとおしゃべりしながら箱にたこ焼きを詰めているその顔は、とても優しそうな笑顔だった。
「リュウ、あそこでたこ焼き……」
 指さしながら見下ろすと、リュウは真剣な表情であらぬ方向をみていた。
「リュウ? どうした?」
「兄ちゃん、朝顔や。朝顔売ってる」
 その言葉に振り返ると、沈みかけた太陽の残り火に照らされて、色とりどりの朝顔の鉢がビニールシートに所狭しと並べられているのが見えた。
 リュウに手を引かれるがまま露店に近付くと、ゆるやかに降りてくる夕闇色の中に、赤や青や紫の螺旋模様が入った細い蕾が、真っ白に浮かび上がる。
「お母しゃんの花やな」
 しゃがみ込んで蕾を眺めながらリュウが言う。
「母さんの?」
「うん。お母しゃんの、このへんとか、このへんとかにあったぁ」
 しゃがみ込んだままで、胸元や袖を指し示す。
「覚えてるのか」
 驚いてたずねると、リュウは抜けた前歯の隙間がはっきりと見えるくらい口を横に広げて笑顔をみせた。
 朝顔は、母さんが好んで着ていた浴衣の柄だ。つながれた手の感触と、夏祭りの空気と、ゆらゆら揺れる裾の絵柄を、今でもはっきりと思い出せる。リュウも、母さんの胸に抱かれている感覚とともに、あの柄を覚えているのかもしれない。
「お母しゃんに、あげたいなぁ」
 淡い、涼しげな水色の蕾をつけた小さな朝顔の鉢を、リュウがそっと指先で撫でる。
 リュウの頭越しに手を伸ばして、竿に結びつけられている値札を調べてみた。
 朝顔ひと鉢百円玉五枚。今、財布の中には、百円玉が十枚。
「兄ちゃん、ぼく、お母しゃんにあげたい」
 リュウが、真剣な表情で見上げてくる。確かにきっと、母さんは喜んでくれるだろう。思わす強く頷く。けれども、
「でも、お金が足りない」
「なら晩ご飯いらん!」
 立ち上がってしがみつくように手を握りしめてくるリュウを見下ろして、ゆっくりと首を振った。
「駄目だよ、リュウ」
 晩ご飯を食べない訳にはいかない。今は良くても、夜になったら絶対にリュウはお腹が空いたと言うだろう。そうなれば母さんはきっと、晩ご飯を我慢して朝顔を買ったことに気付いてしまう。
「晩ご飯は食べないと、母さんが心配する」
 たとえ喜んで貰っても、その後に悲しまれてしまっては意味がない。
「でも、兄ちゃん、ぼく、お母しゃんに、この花あげたい」
 唇を噛みしめて、リュウは俯いた。声が、今にも泣き出しそうに震えていた。
 いつの間にか辺りはすっかり暗くなって、夜の闇に、無数の蛍火を思わせる提灯が、道しるべのように点っていた。遠くで、発電機の低いモーター音が鳴っているのが聞こえる。
 たこ焼き三枚。大たこ焼き五枚。いちご飴一枚。朝顔五枚。……大串イカ姿焼き五枚。
 たこ焼き一皿で、二人分のお腹は膨れないだろう。イカ焼きでだって同じことだ。それに、リュウはたこ焼きが食べたいと言っている。
 俯いているリュウの頭を、空いている方の手でゆっくりと引き寄せて抱きしめながら、視線を周囲にめぐらせる。食べ物屋の屋台は、夏の夜に一層元気を増したみたいに、煌々と照りつけるランプの灯りを受けて眩しく浮かび上がっている。先ほど遠巻きに眺めていたたこ焼き屋の屋台も、一際明るくライトアップされている。
 大たこ焼きを一皿買って二人で分けたら大丈夫だろうか。大たこ焼きは五枚。朝顔も五枚。二人分としては少し物足りないかもしれないが、空腹に耐えられない程では無いかも知れない。
「朝顔買ったら、いちご飴が買えなくなるけどいいか?」
 頭を撫でながらたずねると、リュウはゆっくりと顔を上げた。
「いちご飴たびなかったら、お花買えるん?」
「ん」
「じゃあ、ぼく、いちご飴いらん」
 強く、リュウが握った手に力を込める。その小さな手を握り返しながら、ビニールシートの向こう側でのんびりと煙草を吹かしているおじさんに声をかける。リュウが指さす鉢を白いビニール袋に入れて貰って、お財布の中身を確認してから百円玉を五枚払った。
 割るといけないからと、自分で鉢を持ちたがるリュウをなだめて、たこ焼き屋へと向かう。右手に朝顔、左手にリュウ。陽気な声や笑い声の中を、すり抜けて進む。リュウは上機嫌な笑顔で人波を避けながら、時々朝顔を気にして振り返った。
 ちょうど、人が途切れたところを見計らって、たこ焼き屋の屋台の前に立つ。
「リュウ、たこ焼き買う間、朝顔持ってて」
「うん!」
 元気に差し出される両手に、ビニール袋の持ち手を握らせてやると、リュウは嬉しそうに中をのぞき込んだ。
「いらっしゃい」
 薄茶色の長い髪を後ろで一つにしばったお兄さんが、想像通りの優しい声をかけてくる。
「大たこ焼きを一つください」
「はいよ、五百円ね」
 手早く鉄板から舟に移される大たこ焼きを見ながら、財布を逆さにしてすべてのお金を掌に出す。屋台のランプに照らされて銀色に光る百円玉が五枚。もう一度確かめてから、お兄さんに渡した。
 両手で舟を受け取り、人混みの邪魔にならないよう屋台横に移動してからリュウを呼ぶ。
「うわぁ、兄ちゃん、おいしそうやなぁ!」
 大玉のたこ焼きが十個並んだ舟をのぞき込み、リュウは目を輝かせた。
「植木鉢、降ろすか?」
「んーん! ぼく、持ってる!」
「そうか。じゃあリュウ、あーんしろ」
「あーん!」
 たこ焼きを串にとり、リュウの口に入れかけて、ふと思い直す。
「あー?」
 口を開けたままで、リュウが首を傾げた。
「ちょっと待って。このままじゃ火傷するだろ」
 言いながら串でたこ焼きを半分に切った。その切り口から白い湯気が溢れ出る。気付いて良かった。このまま口に入れていたら、大きい分大変なことになっていた。
 リュウの分を四個すべて半分に切り、ふーふーと息を吹きかけながらふと見ると、リュウは口を開けたまま、大人しくこちらを見ていた。
「リュウ……、口、閉じて待ってていいのに」
「あー? あ、そっか」
 えへへ。と笑って口を閉じる。その様子に、いつの間にか横から眺めていたらしいたこ焼き屋のお兄さんも楽しそうに笑った。
 唇で触れて、程良く冷めたことを確認してから改めてリュウの口に運ぶ。
「あーん」
 リュウは待ちかねた様子で顔を突き出し、たこ焼きを頬張った。
「んまーい!」
 満面の笑みで叫ぶ。食べてみると、確かに中がとろとろあつあつで美味しかった。
 片割れの半分を口に入れてやると、また、「んまいなぁ」とリュウは笑う。
「兄ちゃん、今度は兄ちゃんがあーん、な!」
「いいけど、落とすなよ」
 慎重に、鉢と舟を交換する。リュウは真剣な表情でたこ焼きを串に刺すと、前歯の隙間を見せて笑いながらこちらに差し出した。
「はい、兄ちゃん、あー……」
 その瞬間、リュウの体が大きく揺れた。
「あ?」
 リュウの手から、たこ焼きの入った舟がゆっくりと地面に落ちる。
 人混みからはみ出た人が、うっかりリュウにぶつかったのだ。
 たこ焼きは無惨にも地面に転がって、ソースは砂まみれになった。
 急いで視線を人波に戻したが、はみ出た人は、ぶつかったことに気付かなかったのだろうか。人の流れにのって、そのままどこかへ行ってしまった。
「ちっ」
 思わず、母さんが聞いていたら顔をしかめるだろう舌打ちをして、リュウに向き直ると、リュウは地面に落ちたたこ焼きを見つめたまま、肩を震わせていた。
 泣く。そう思ったけれども、どうしようもない。買い直そうにも、もうお金は無いのだ。
 案の定、リュウは見る見るうちに目に涙を溜めて、やがてゆっくり口を歪めると、大きな声で泣きだした。
「わぁああああああん」
 泣き声に混じって、兄ちゃんとか、たこ焼きがとか、そういうことを言いながら、リュウは一層泣き声を上げる。
「泣くな。リュウは悪くない」
「わあぁあああああん」
「泣くなよ」
 こっちまで泣きたくなってくるのを我慢して、リュウの頭を抱きしめる。くぐもった泣き声が、お腹を通して体に染みこんでくるようだった。
 どうしようもないのだ。落ちてしまったものは、仕方がない。ぶつかった人もきっと、屋台のかげでこちらが見えなかったのだ。きっと、誰も、悪くない。
 そう思いながら、けれども未練たらしく地面のたこ焼きを見つめた。リュウだってまだ、ひとつしか食べていないのだ。
「なあ」
 リュウの頭を撫でながら、これからどうしようかと考えていると、屋台の脇からたこ焼き屋のお兄さんが顔を出した。
「さっきので、もうお金無くなったんだろ?」
 財布を逆さにしたのを見ていたのだろう。頷き返すと、お兄さんは「やっぱりな」と呟いた。そして、
「ちょっと待ってろ。お前もあんまり泣くな」
 お兄さんはそう言ってリュウの背中を軽く叩くと、屋台へと戻っていく。
 肩を震わせて大きくしゃくり上げながら、リュウは真っ赤になった顔を上げた。
 リュウと二人、顔を見合わせて首を傾げていると、たこ焼き屋のお兄さんは透明のビニール袋に何かを入れて戻ってきた。
「ほら。これやるから。家に持って帰って食え。俺スペシャルだぞ」
 受け取りながら見ると、袋の中には大たこ焼きの箱が入っていた。
「良いんですか?」
 売り物なのに。そうたずねると、お兄さんは人差し指を口の前に当てて、
「内緒な」
 悪戯っぽく笑った。
 リュウと一緒にお礼を言って、屋台を後にする。
 少し進んでから、人混みの中で一度振り返る。
 お兄さんのいるたこ焼き屋は、ランプの灯りに照らされてあたたかく浮かび上がって見えた。その光の中で、お兄さんはまた、笑顔でお客さんにたこ焼きを売るのだろう。
 賑やかな人の群れを抜けて、リュウと二人、手を繋いで夏祭りを後にする。
 リュウは反対の手で大切そうにたこ焼きの入った袋を握りしめながら、時折、しゅんっと鼻を鳴らした。
 祭りの喧噪が遠のいていく。
 人々の笑い声と、食べ物の匂いにかわって、少しだけ冷えた夜の風と、蛙の鳴き声があぜ道に響く。
「帰ったら、たこ焼き食べて、お風呂入ろうな」
 歩きながら声をかけると、リュウは無言でこくりと頷いた。
「お腹空いたな。少し急いで帰ろうか」
「ん」
 今度は、リュウも少しだけ元気に答えた。
 繋いだ手の、反対に持ったビニール袋が歩くたびに小さく音を立てる。
 朝顔の袋と、たこ焼きの袋が、それぞれに立てる音が、足音と、蛙の鳴き声に混じって夏の夜に祭りの余韻を残す。
 リュウは泣きつかれているだろうから、母さんの帰りを待てずに寝てしまうかも知れない。お風呂から上がったら、リュウと一緒に、母さん宛の手紙を書こう。朝顔の鉢と一緒に置いておけば、母さんはきっと、読んでくれるだろう。
 そんなことを考えながら、リュウと二人、しっかりと手を繋いで家まで帰った。
 キッチンのテーブルに座って食べたたこ焼きは、程良く冷めていて、やっぱりとろとろで美味しくて。そして、タコがとてもたくさん入っていた。
「タコいっぱいだな、俺スペシャル」
「うん! 俺すぺしゃる、んまいな!」
 すっかり元気になったリュウと一緒に、朝顔の鉢を眺めながら、お兄さんがくれたたこ焼きを平らげた。
「お母しゃん、喜んでくれるかなぁ?」
「きっと、喜んでくれるよ」
「そやったら良いなぁ」
 前歯の隙間を見せて笑うリュウを見つめながら。きっと、喜んでくれるよと、もう一度繰り返す。
 母さんは、きっと、喜んでくれるだろう。
 そして、あたたかくて優しい笑顔を、きっときっと、見せてくれるだろう。
 あの夏祭りの日、朝顔の浴衣を着た母さんの笑顔を思い出しながら。
 僕はリュウと一緒に、涼しげに揺れる朝顔を眺めていた。

... ... ...END

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